【こももの本棚】ナラタージュ/島本理生

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こんにちは。こももです。

スマホアプリに記録していた読書感想を少しづつこのブログに書き留めていきます。

今回は島本理生さんの『ナラタージュ』です。

ストーリー

お願いだから私を壊して、帰れないところまで連れていって見捨てて、あなたにはそうする義務がある—

大学2年の春、母校の演劇部顧問で、思いを寄せていた葉山先生から電話がかかってきた

泉はときめきと共に、卒業前のある出来事を思い出す

後輩の舞台に客演を頼まれた彼女は先生への思いを再確認する

そして彼の中にも消せない炎が紛れもなくあることを知った泉は—

早熟の天才小説家、若き日の絶唱ともいえる恋愛文学

ナラタージュ/島本理生 の評価・感想
 (3.5)

当時、松潤主演で映画化されるというニュースと映画の公式HPを見て興味が湧き読み始めた作品。

率直な感想としてはあまり面白くない。

文章は繊細で美しい言葉で綴られてはいるものの、ほぼ回想だからかあまり起伏がなく淡々と話が進む感じ。

そしてちょっと色々美化しすぎかな?

でもそう感じるのは、読んでいる時点の私がその瑞々しさを共感できない年齢になってしまったからなのかも。

もっと若い時、20代とかで読んだら印象はかなり違うのかな。

ただ、狂おしいほど人を好きになる感覚というか、考え方や感じ方、つまり感性が同じなのに共に歩んで行けない類の人に出会ってしまい、それ故に惹きつけられて離れられない感じは大枠で共感。

だからかな。不意に言葉がグサッと刺さり涙が溢れたりして。

なので決して嫌いではないこの作品。

むしろ淡々としているからこそ引き込まれるのかもしれない。

最後の泉の言葉

「これからもずっと同じ痛みをくり返し、その苦しさと引き換えに帰ることができるのだろう。あの薄暗かった雨の廊下に。そして私はふたたび彼に出会うのだ。何度でも。」

この文章すごい。

深く、重く、胸をギュッと掴まれる感覚。

「子供だったから、愛してるってことに気付かなかった」だけで泉は相手を深く理解し愛していた。

いや、過去形ではないな。

お互いの気持ちが強いまま別れたことで苦しくも美しい思い出は生き続け、泉はいつだって葉山先生を愛している。

葉山先生もね、同じなんだけどどうもズルさが付き纏っちゃうのよね。

それでも葉山先生に惹かれる、離れられないのが微妙にわかるのがツラい!

読了日:2016/07/27

著者:島本 理生(しまもと りお)

1983年東京生まれ。2001年「シルエット」で第44回群像新人文学賞優秀作を受賞。03年都立高校在学中に『リトル・バイ・リトル』が芥川賞候補となり、同年野間文芸新人賞を史上最年少で受賞。『生まれる森』(04年)、『大きな熊が来る前に、おやすみ。』(06年)も芥川賞候補となる。05年書き下ろし恋愛長編『ナラタージュ』が各界の絶賛を受け、同書は累計40万部を超えるベストセラーとなる。近作に『真綿荘の住人たち』『あられもない祈り』『アンダスタンド・メイビー』『七緒のために』がある。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

松潤目的で読んだはずなのに、結局映像化された作品は観ていないんですよね(^^;

今やVODでいつでも視聴は可能だけど、、、観ないだろうな(笑)

あまり面白くないと言いながらこの作品から漏れてくる「なんとも表現できない気持ち」に触れたくて何度も読んでいる、私にとって不思議な存在の小説です。

それでは、また。

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